言の笹舟 web小説レビューサイト

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NARUTO~閉ざされし、されど鍵ある扉~ 102

 第十三木ノ葉湖というのは、けっこう里から離れた――子供の早足だと二時間ほどかかる――場所にある、たいした特徴のない湖である。水遊びするには離れすぎているけど、べつに猛獣が住み着いてはいないから、薬草採りするには適した場所かもしれない。
 ただ、それは道があったらの話だ。

「おい……本当にこっちで合ってるのかよ?」

 木の枝を折り曲げながら、シカマル。鬱蒼と茂った森――ヘタをすれば、道に迷ってしまう状況である。
 こんなところにあるのは獣道、看板があるわけではないから、道を知っている案内役がいなければどうにもならない。シカマルは大まかな湖の位置を地図で見たことがあるだけだから、いのに言われるままの方向に歩いているだけである。
 いのは、ギクッ、と動きを止めたのを誤魔化すように、

「あー、ほら! ま、まださ、どんな薬草採るのか教えてなかったでしょー。ちゃんと巻き物持ってきたから、これ見て覚えなさいよ」

「で……本当にこっちで合ってるのかよ?」

 長い付き合いだけに、シカマルは誤魔化されることなく再び確認した。





 そのやりとりに不安になったのが、チョウジがいのを見つめる。

「ねぇ、大丈夫だよね? もう二時間は歩いているのに、迷っていたりなんかいないよね?」

「……親に連れてこられたことがある、って言ってたよな?」

「ボク、嫌だよ。こんなところで迷うなんて……」

 次々とうったえられる言葉に、

「あー、もう私だって嫌よー。しょうがないでしょう、私が来たときとは季節が違うんだから……迷ったわよ!」

 ついに、いのが迷ったことを認めた。
 素直に白状さえすれば二人はいのを責めることなく、

「はぁ……どうすっかな、太陽だけじゃ細かい方向わかんねーしな」

「とりあえず、弁当食べようよ。お腹減ってたら良い考えも浮かばないよ~」

 前向きに考えるのは立派なことなのだが……忍者には欠かせない素質なのだが……いや、まったく一言も責めないというのもなんだがなぁ。もういのに従うことをスタンダードに備えつけてしまっているのかもしれない。

「はいはい、わかったわよ。とりあえず、休める場所探しましょー」

「あー、とりあえず湖についたらしーな」

 シカマルは頭をポリポリ書きながら、先を指差した。
 ――木々の間から、光が漏れている。
 もっと近付くと、それは湖面が日光を反射しているのだとわかった。

「ほらー、第十三木ノ葉湖よ。私が迷うなんてことするわけないじゃないー」

「いやな……湖の形からすると、遠回りして反対側から出くわしているんだけどなー」

「さぁ、まずご飯にするわよ。薬草採りはそれからー」

 シカマルは突っ込んだが、自信を取り戻したいのにスルーされてしまったとさ。


 そうやって湖岸に弁当を広げた三人だった。
 色々な具材が込められたおにぎりがあるのは当然として、鳥肉の唐揚げやミニハンバーグといった定番類、サバの味噌煮やプチトマトといった好物、とにかくチョウジのために量はあり、デザートにミカンもついているという豪華なメニューだったか、

「おまえら――帰れ」

 ランチタイムを邪魔する金髪の少年が現れた。


 子供たちとて、忍者になるべく育てられてきた。それなりのスキルはあるというのに、少年の接近を気付いたものはいなかった。シカマルは、ちょうど飯食う前に安全かどうかあたりを見回していたところだったので、その異常をいち早く認識した。

「……? お前、どっから――」

 シカマルは少年に問いただそうとしたのだが、

「ボク~、お父さんかお母さんは近くにいるのかなー?」

 いのに阻まれた。

 どうやら現れ方より、自分たちより小さい(三人では一番背の低いいのより、さらに四センチも下)子供が、こんな里から離れた場所にいることに疑問を抱いたようだった。
 わざわざ膝を曲げて、視線の高さを合わせるという子供と話すときの基本を実行しつつ、いかにも優しいお姉さんですよー、といった口調で話し掛けている。
 そんないのを冷たい目で見つめた少年はぶつぶつと思案すると、

「おばさん、と、そう返すべきか? そんなに歳は離れてないはずだが……ここは さんでいいか、いいな、ということで――婆さん、ボクというのは訂正しろ」

 女性には言ってはならない言葉で言い返した。

「シカマル……放しなさい、放しなさいってばぁー」

「放すか、バカ! そういうのは振り上げた拳おろしてから言え。背伸びしすぎたお前がわりぃ!!」」

「ねぇ、逃げてよぉ~。ボクは幼馴染みが人殺しになるとこなんか見たくないよぉー」

「って、バカチョウジ! なに人聞きの悪いこと言ってるのよ、ちょっと親に成り代わって教育してあげるだけよ!」

「だから……その手はおろせって!」

「どこさわってるのよ、シカマル! あんたも殴られたいのねー」

 禁句に、いのは殴りかかろうとして……それをシカマルが抱きついて止めて、チョウジが泣きながら少年を逃がそうと、そしてシカマルを殴り飛ばして落ち着いたりするいのだったり。
 そんな慌ただしい騒動の末、

「私は山中いの。呼ぶなら、いのお姉ちゃんねー」

「いや……ただのいのでいいからな? オレは奈良シカマルだ、呼び方はどーでもいいぜ」

「ボクは秋道チョウジだよー。チョウジって呼んでね」

 と、自己紹介することになっていた。
 まぁ、人付き合いの悪い少年も名乗られたら名乗り返すくらいの常識はあるわけで、

「うずまきナルト。ついでに言っておくが、十一歳だ」

 簡潔に少年――ナルトも述べた。

「へぇー、同い年かよ。んで、こんなとこでなにしてたんだ?」

「釣りだ。ここらへんは穴場でな、のんびりするには最適だ」

「ほ~、釣りか……暇つぶしにはもってこいだな」

「ん、やるか? 予備の釣り竿はあるが……」

 ナルトの誘いに心動かされたシカマルだったが……いのが恐い目で睨んでいたりしたから、

「わりぃな。やりてーとこだけど、やらねぇとなんねーことがあってな」

 と、断るしかなかった。

 ちょっとだけ、ナルトは残念そうにしていて。

 ぼそっと、


「なら、死ぬかもな……」


 ぶっそうな呟きを漏らした。

「はっ、ははは。なんだよ、どう繋がるっつーんだよ?」

 乾いた笑い声を発しながらシカマルは問うた。非現実的すぎるくせにリアルな響きを聞いたため、身体が震えていたりする。

「そうよー、さっきから『帰れ』とか『死ぬかもな』って、いったい何をいいにきたのよ?」

 いのの疑問はもっともなものだったから、ナルトは淡々と話しだした。

「オレは警告に来た――けど、手遅れだな」

 ガサッ。
 ナルトのもたらした静寂に、何かが揺れる音が響き渡った。
 それは、弁当を広げたところからさして離れていない林から聞こえていた。

「最近このあたりを虎がうろつくようになってな。危険だから帰れ、と、言いたかったのにな……もう、そこの茂みに潜んでいる。うかつに動くと襲ってくるからな、気をつけろ」

 凍結。

 静寂。

 解凍。

「「「なにぃぃぃぃぃぃぃぃい!!!」」」

 ガオン!

 小鳥の囀りが聞こえるような、いい天気な昼。湖岸にて、悲鳴×3と野獣の咆哮が響き渡ったとさ。




 
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