言の笹舟 web小説レビューサイト

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マイスタイル・オンライン 6 模擬戦終わりて?



 休み、話し、別れを告げてなお興奮の冷めやらぬ体を優しい風が撫でるように流れていく草原にて。
 俺は訓練場を出ていったカルビーとタクのことを寝ころびながら思い返していた。
 火属性魔法と剣術に特化しているだけのことはある実力者だった。
 きっと他のゲームにて経験を積んできたのだろう。
 いまだにマテリアル経験値じゃないプレイヤーとしての経験値――EXPを1も稼いでいないというのに玄人じみた強さであった。








 二人はこれからパーティを組んで冒険してみると言っていたが彼らの火力のまえには並大抵のモンスターでは太刀打ちできないことだろう。数で押すか、剣・火のどちらにも耐性をを持っていなければ勝負になるまい。適正レベルのフィールドを探索するくらいでは苦労しないはずだ。ダンジョンのほうでは別方面の才能も必要となってくるためにメンバーを増やさないと無理そうではあるけど、まぁ、俺の心配することじゃない。
 一緒に世界をうろつくのはきっと楽しいことだろう。
 誘われは……した。
 妹との勝負のことがなかったらフレンド登録だけでなくパーティ申請も受け入れていたこと間違いなしの気のいいやつらだったと思う。
 模擬戦のときにはリアルな痛みをあじわったのにそれを恨みと考えるという発想すらなく、戦闘後に検討したけど空気が悪くなることはなかった。
 それらが貴重な素養であることはこれまでの経験から熟知している。
 そして、

「強かったなぁ。あいつら」

 目蓋を閉じればすぐに思いだせる真っ赤な炎と無慈悲な斬撃。

「カルビーは……名前が名前なだけにどこか侮っていたのかもしれないな。≪☆烈火☆≫に≪火:魔力≫と≪魔力≫という炎魔法特化は伊達じゃない。俺のほうが小技でマテリアルレベルは上回っていたけど、ブースト系のスターマテリアルはその遥か上をいっていた。きっと、初手・牽制のファイヤーボールくらいが普通のプレイヤーの切り札になるところなのにカルビーにとっては挨拶代わりにすぎなかったんだろう」

 俺がログイン直後に直撃喰らったファイヤーボールで限度ぎりぎりだと言っていたからそれ前提に戦術を構築していたというのに、よく聞いてみれば、決闘相手じゃない俺に大ダメージを与えたことでマテリアル経験値がたっぷりと入って、できることが増えたらしい。≪火≫のマテリアルは成長するごとに威力と燃費を良くしていき、なおかつレベル5の倍数になるたびに開発できるスキルの範囲が広がっていくとか。ソレ、戦う前に教えてほしかった。
 マテリアル経験値は、ただ闇雲に練習として使っているよりかは実用しているとき――攻撃スキルならば実戦に用いたときに一番経験値が手に入るらしい。練習のときより決闘しているとき、決闘よりモンスターやプレイヤーに攻撃したとき、より多くのマテリアル経験値になるとか。ふむ、二人を『そよ風パンチ』で攻撃しまくっとくべきだったか……いや、実際はやらんけど。

「そして、接近戦を目論み近づこうとしたものに対するあのスキルはよく練られていた。単純にかわすには挙動が読めず、かすりさえすれば巻き付いてくるというやっかいさ。火なんてのは一瞬触れただけならたいしたことないけど、離れなくなったまま燃え上がれるとヤバいっていう性質をよく理解していやがる。燃えるダンボールの上を歩くくらいはどうったことなくたって、服に肌にと付着してくる灯油の炎に巻かれたら重度の火傷になって悶えくるしむことになるっていう火の恐怖をどこか本能的に理解しているんだろうな」

 あれは、火傷のダメージが通常のダメージより痛くなるよう設定されているこの世界ではこの上なく有効なスキルだったがそれだけじゃない。
 たとえ幻痛がたいしたことのない仕様になっていたって、こちらの機動力をなくさせるあのスキルは脅威の一言だった。
 一度足を止めてしまえばあの火力の的にされてしまう地獄絵図になっちまう。

「で、あの炎に怯えることなく突っ込んできたものに対するあの洗礼はひどいものだったな。普通、≪火≫に≪魔力≫をサブにつけたくらいじゃ自分の手元から火の玉を撃ちだすことしかできないっていうのにまさかあんな発想でそれ以外を可能にするとは。上位マテリアルの≪魔導≫があれば相手の足元から大爆発させる『エクスプローション』などというスキルは可能になるみたいだからそれよりは劣るものの、初日からあのようなスキルを実現するなんてな……きっとカルビーは二つ名のあるプレイヤーに昇りつめるに違いない」

 スキルはやはり発想こそが重要だということをよくよく思い知らされた。
 骨身にまで熱が及んでいる。
 いまも頭のどこかがあの応用を自分にも取り込めないのかと考え込んでいるようだった。
 あれに突っ込んでいたら終わっていた。

「しかし――しかしだ。あのファイナルアタック、勝利して得るものをなくしてまでの勝利への執念による一撃にはすべてが霞む。初対面の相手ながら負けまいという意気込み。あの闘志に燃える眼差しがあったからこそ俺も引きずられるように思念強度の壁を超えられたんだ。カルビーが初戦の相手だったという幸運をこれからずっと俺はありがたがることになるんだろうな。なんていう奇縁だ」
 
 俺はこの模擬戦じゃカルビーは三つもスキルを使わないだろうと予測していた。
 間合いを詰めるための時間を考えると、開戦の狼煙を告げる一発、半分まできた俺に一発、ゼロ距離になってからの一発くらいが限度だと計算していたのだ。魔法特化に中距離遠距離で撃ちあうのは分が悪いので、飛び込んで、体術で決めるつもりだった。蹴って、殴ればそれで片がつくという目論見である。近づいたらあとには降伏勧告したっていいとすら思っていた。無駄に痛みつける必要はないと。なんともぁ愚かな考えだったのか。
 これで何度目になるのか。俺はもう一度、カルビーとの試合のことをはじめから思い出していった。






<後書き>
 刀語ごっこをしようと思った。
 だけど、カルビーとタクは旅立っていて主人公一人だから成立しなかった!
 やむなく回想シーンを普通に描写することに……

 というわけではなくカルビーのスキルを一人称でどう表現するか迷った挙句の苦し紛れの策です。
 次話では、模擬戦後に検討をしてスキルの詳細を説明をしてもらったという前提でカルビーとの試合内容を描写していきますね。
 まだ読んでくださっている皆さんにはこのゲームのシステムを説明しきれていないのいで説明文多めにする予定です。

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 休み、話し、別れを告げてなお興奮の冷めやらぬ体を優しい風が撫でるように流れていく草原にて。 俺は訓練場を出ていったカルビーとタクのことを寝ころびながら思い返していた。 火属性魔法と剣術に特化しているだけのことはある実力者だった。 きっと他のゲームにて...

  • 2012/03/23(金) 01:52:50 |
  • まとめwoネタ速suru






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