言の笹舟 web小説レビューサイト

 ここでは私の趣味嗜好を基準にネット小説をご紹介させてもらってます。
人気小説・ランキング上位のもの・捜索依頼されているものなどを読んで、気に入ったもののみレビューします。
2013年はこのブログだけでなくやる夫スレでも頑張っていきますよー!



マイスタイル・オンライン 1 今度の舞台はこのゲーム

 思いつきで、不定期更新のVRMMOものをやらせていただきます。
 変わったスキル構成の主人公がソロでやっていくよくあるパターンですけどできるだけ先人たちとかぶらないように頑張りますね。
 生産系は今のところは考えていなくて、戦闘主体でいきます。

 ちなみにこの作品は、FF7の攻略サイトを見ているときに思いついたものです。
①=② ③=④
①(召喚獣A)
②まほうみだれうち
③(召喚獣A)
④MPきゅうしゅう
⑤Wしょうかん
 ……こんなの当時思いつきませんでしたって。








「お兄ちゃん、このゲームとか面白そうじゃない? ちょうど明日からオープンみたいだし」
「ほー、どれどれ」

 最新ゲームのまとめからよさそうなものを目星つけていたらしい妹の操作するPCを後ろから覗きこむ。
 妹の苺がβ版のときの攻略サイトの情報を順番に辿っていくのを眺めているとなかなか興味を惹かれるシステムだった。
 いわゆるスキル制のVRMMORPGらしく、初期の10とレベルアップごとに3ずつ与えられるポイントの【MP】と交換にマテリアルと呼ばれるものを獲得するとマテリアルごとの技能を使えるようになるという。マテリアルごとに必要とするMPは異なっていているとかで、序盤のうちは、2MPの≪剣≫や≪体術≫、3MPの≪火≫や≪回復≫、こんなところをいくつか選択しているとか。生産スキルっぽい≪調合≫や≪釣り≫といったマテリアルは1MPとコストの安いことから戦闘を中心に考えているプレイヤーも余裕が出てくると一つか二つは手に入れているらしいが。
 とくに目新しかったのは、マテリアルの不可逆性と説明文のなさ、マテリアルのメインとサブの区別、オリジナルスキルの存在だろうか。

 一つ一つ、考えをまとめていく。

 マテリアルの不可逆性というのは、一度MPと引き換えに獲得したマテリアルはもう返品できないということを意味している。
 自分にはやっぱ合わないと後悔したって手遅れということらしくて、そういう場合は、レベル上げをしてMPを稼いで新しいマテリアルを獲得するしかないという。ここでいやらしさを増してくるのが説明文はないということだ。マテリアルの選択場面では、≪剣≫≪氷≫≪魔力≫≪スピード≫≪効率化≫といったマテリアルの名前のみが表示されているという。詳しい説明は一切ないなんて運営の大胆不敵なコンセプトには驚いてしまう。このために名前のイメージから選んだものの自分の想像とは違うと後悔する人が後を絶たないらしい。

 で、攻略サイトを事前にチェックさえしていればマテリアルの効果を調べられそうだけど、そう単純じゃないのは、マテリアルにはメインとサブがあるからだとか。マテリアルを獲得するとき、すでに獲得済みのマテリアルのサブにするか、新しいメインにするかの選択を迫られることになって、これによってまったく別物になってしまうみたいだ。
 例えば、≪火≫に≪魔力≫をサブにつけた場合の≪火:魔力≫は火属性の魔法っぽいスキルを扱えるようになる構成だけど、逆の≪魔力:火≫では他の火属性のスキルの効果をブーストする能力を持つ構成になってしまうらしい。後者のほうははじめのうちはそれ単体ではスキルを使えるようにならないことから構成をミスってしまった失敗作呼ばわりされていたけど、地道にスキルの威力のデータを蓄積していったユーザーの報告によってようやく明らかになったとか。
 こういったようにプレイヤーに調べられたことはいくつかあって、≪魔力≫はメインにしておくと他の魔法スキル全般の効果をブーストしてくれるけど効率は悪く、≪魔力≫と≪火≫の構成のプレイヤーと≪火:魔力≫のプレイヤーの火属性攻撃魔法では威力にはっきりと差が出てくるらしいとかの報告例もある。ちなみに≪火:魔力≫の構成を持っていたって他の魔法スキルの効果にブーストがかかることはないので、つまりは、いろんな属性の魔法を使いたいならば≪魔力≫はメインにしておき、火属性に特化したい人は≪火≫のサブとして連結させるのが定番になったとか。こういった常識がひとつできるまでにどれほどの試行錯誤が繰り返されたのやら……楽しそうすぎる。
 いまだに自分の構成の効果を把握できなくて困っているプレイヤーや、ネット上の嘘に騙されてとんでもない構成にしてしまった被害者なんてのはいるだろうが、だからこそ、自分だけの構成を追求する喜びってのがありそうだった。こういう自由度の高いゲームっていうのはほんとありがたい。最終的に皆似たり寄ったりの職業・スキル・装備になってしまうゲームなんてクソ喰らえだ。こうなってくるとマテリアルを後から変更できてこないというのが神設定に思えてくる。

 さらに面白くしてくれそうなのはオリジナルスキルの存在だった。
 いや、マテリアルの発動はプレイヤーのイメージによるために公式のスキルなんていうものはほとんど存在しないらしい。その公式スキルのほとんどは生産系の救済策――鍛冶とかいちいち本格的にやっていたら時間効率が悪いのでウィンドウからレシピを選択して待つだけで作れるうになっているっぽい――だけで、戦闘系の公式スキルはなく、プレイヤーごとに個性あふれるスキルを行使することになるとか。こればっかりは実際に試してみないとどういうものか理解しにくいけど中二心がくすずられてワクワクしてくる。
 
「ねっ、悪くなさそーでしょ」
「そうだな。今度はこれにしてみるか」
「今回は負けないからね。絶対にお兄ちゃんの小遣い二割を貰うんだから!」

 そう、俺たち兄妹は長期の休みがあるたびに新しいオンラインゲームで賭け事をしている。
 今日は夏休み前日だけど、最終日までにどれだけ経験値を稼げるか――両方レベルをカンストしている場合は所持金の金額――を競っていて、次の勝負までの小遣いを二割を賭けているのだ。攻略サイトをざっと読んだあとに我が道をゆく俺と、最初はてきとーに進めていって興味を持った分野だけを徹底的に攻略サイトで分析する苺は、けっこういい勝負になりつつそれぞれのゲームを楽しめている。どちらかに効率だけを追求するのがいたらもっと雰囲気は悪くなっていただろうけど、あくまで勝負は楽しめるように、という健全な思考をできる兄妹だからこそ成り立っているお遊びではある。
 ちなみに俺は前回勝ったので、苺を小遣いを増額させるためにテスト前には勉強をみてやったりして俺の分け前を増やしたりしている。

「オープンは明日の十時からだねー。じゃあ、それまでは宿題をやっとく」
「おー。ドリルとかは毎日ちょびちょびするようにしとかないと休み開けのテストで死ぬぞ。マジでやったのに忘れる。やるなら自由研究とかにしといたほうがいいぞー」
「あるよねーそういうの」

 苺との賭け事は、宿題を片づけていなかった場合は自動的に負けたことになったあげくペナルティは三割になる。
 これはラスト数日だっていうのに負けそうだったからといって宿題残っているのにゲーム漬けをしていたおバカな妹がいたために設けられたルールである。
 まぁこのルールも四年目となってくると言わなくたって課題をこなすようになっているのだが。

「ちゃんと宿題優先するっていうことは、もうすでに明日のゲームの準備は終わっているってことか?」
「うん、お兄ちゃんなら反対しそうにないゲームだったからもう一通り調べてあるよー。私はまず複合属性の魔法を扱えるようになることを目標に動くの。βのときは属性マテリアルを30まで育てたら別の属性をサブつけられるようになったみたいだから、≪闇≫を育てまくって闇の炎にするんだよ。カッコいいでしょー」

 オリジナルスキルなんていうシステムのあるこのゲームを妹にやらせていいものかちょっと迷ったが、数年後には完治していることを祈ることにする。
 うちの妹は軽度っぽいから大丈夫――だよな?

「そ、そうか……頑張れよー」

 自室に向かっていく苺を見送った俺は攻略サイトを自分のペースで見て回った。

「『Freestyle Online』か……俺のスタイルはどういうものにしようかな」

 最初のMPはたった10ぽっちとはいえ、序盤はすぐにレベルを上げられるそうだからそのことをふまえると手に入るマテリアルはけっこうな数になってくる。
 無限大といっていい組み合わせを考えているだけであっというまに時間は流れていった。




 
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