言の笹舟 web小説レビューサイト

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NARUTO~閉ざされし、されど鍵ある扉~ 123

 罰として与えられたのは、窓掃除。
 学校全部の窓――そう言われはしたが、職員室等は除かれるからそのままの意味ではない。ナルトに与えられた任務は廊下にある窓に限定されていた。
 しかし、忍者学校の施設は多岐に渡るため渡り廊下はいくつもある。
 ナルトはたいていの作業だったら、自前の超人能力によって残像現象を引き起こしつつも超高速で終わらせることが可能だ。流石に、デリケートな類だと無理っぽいけど。そのため地道に一般的な手法によって掃除していくことになる。





 そして、あまり知られていないけどナルトは完璧主義者である。割り切りはいいからさして拘ったりしないが、仕事を任されときやる理由と余裕があるときはきっちりやり遂げなければ気が済まない。
 そういった気質もあり、窓掃除となると一枚一枚ピカピカにしていくことになり……そうなると時間がかかるわけで放課後が丸々つぶれることになる。いつもならイルカに奢らせるからいいのだけど、今日は給料日とやらで同僚と飲みにいくらしくたかれない。
 ――なんか損である。
 イルカの財布を空っぽにさせることを心に誓うことで納得したのか、それともノックアウトした非を認めているのか、ナルトはサボろうとはしなかった。しかし、そうなると帰ってから食べるものがもうないわけで。
 チョウジから分けてもらったチョコ板ぐらいでは空腹は満たされなかった。しかし、ポテトチップスの最後の一掴みを横取りすると面倒なので、それ以上の食料は得られなかったらしい。

「ん、作るとするか――」

 掃除を早めに終わらせて狩りにいきたいナルト君は、軽々と、掃除用の術を考案することにしたとさ。




 水を汲んだバケツに、右手を差し込む。
 ――掌に集中、そしてチャクラで吸着させる。
 んで、水を纏わせたまま引き抜く。手の表面にぬるっとした感触、第二の皮があるようなイメージ。それを確かめ、

「ん」

 ナルトは満足気に首肯いた。
 手を振って、それでも零れないという安定度。そのまま窓に押しつけるけど膜になった水によって指紋がついたりしない。それどころが、チャクラによる蒸気によって汚れは浮かび、落としやすくなったところを掌で渦巻く水流が洗っていく。
 うわぁ、家庭に一つは欲しいマジックハンドだねぇ。
 即興にしては使い勝手が良いらしく、たまに水を取り替えるだけですいすいと綺麗になっていく。
 これも修業になってるんだけど、主夫くさいナルト君でしたとさ。




 残りが、長い廊下に一つだけになったときのこと。

「ナルト……少し、いいか」

 声をかける少年がいた――油女シノだ。
 その名を覚えていたのは、黒眼鏡という変わった格好をしているからだった。いくら健忘症なナルトだろうとそんな十一歳を忘れるはずがなく、奇人として名を記憶に留めていたのだった。
 サスケ以上の実力者だということも覚えてた理由にあるけど、それより黒眼鏡のインパクトが強かったらしいけど。
 その若くしての変人――とくに会話したことのないシノが話し掛けてきたのだが、

「いくない」

 きっぱりと、きっぱりすぎる即答で打ち切られた。
 そのまま掃除を続行しようとするナルトの背後に移動するシノ。
 そして懐から取り出したブツを突き出した。
 水面に。

「悪いな」

「いや、オレは構わない――なぜなら時間を割いてもらうからだ」

 シノは言葉を交わすと、バケツに入れた雑巾を取り出して絞った。そして、廊下の反対側にある窓を拭きだした。

「……わかった。くだらぬ用件なら松葉杖になるが、そうならない自信かそうなる覚悟――どちらかがあるなら聞こう」

「その条件でいい。なぜなら――」

「さっさと言え」

 ややこしい言い回しを好むシノに、三度目ともなるとナルトに止められた。だが、ナルトにしては珍しく毒舌ではなかった。
 ちなみに先程のやりとりを説明すると、シノは「掃除を手伝うから、やりながらでもいいので話を聞いてくれ」と行動で示し、ちゃんと礼儀をもって来られたためにナルトは条件をつけつつも承諾したということである。
 廊下をはさんで背中を向け合ったこの二人。流れ的にこれから話すことが子供っぽくなることはないわけで。
 あと余談だが、松葉杖が必要になるというのは足の骨が折られるという意味ではない。治療忍術が施されてさえすぐには回復しないほど木端微塵に砕くという宣言である。子供相手だろうと手加減しようとしないナルト君だった。
 空気が、殺伐となりつつあった。
 そんな空気を打ち破ろうとせずにシノは、

「端的に言おう。オレと戦ってほしい――〈何でもあり〉の試合形式で」

 そう言ったけど、それって普通は決闘と言わないかな。
 まぁ、いきなりの申し込みにも窓に移ったナルト君は眉一つ動かさなかったけど。
 静寂な時が流れる。
 ややして、ナルトが口を開いた。

「おまえは……自殺志願者か? ならばいい崖を教えてやる」

 いや、それは違うだろ――色々と、おもに人として。

「それは違う。オレは強い者と戦ってみたい……だからだ」

 とんちんかんな解釈されても動揺することなく、言葉を継いだシノ。そこに力を試したいという幼い好奇心はあったが、浮かれるほどの軽率さはなかった。実験中の科学者のごとく、なにとなにを混ぜ合わせるとどういう科学反応が起こるのかを楽しみにするようなそんな冷静な気配。
 勝ち負けではなく、戦うことによって己がどう変化するのか期待する目だ。
 だが、そこまでは背を向けつつ窓掃除しているナルト君にはわからなかった。わからないのだが、

「戦闘経験により強くなろうというのか。何故、おまえは強さを求める?」

 変人ことナルトには珍しく、会話が噛み合ったっぽい。
 雑巾でのふきふきする手を止め、シノは答えた。

「泥縄……という故事がある」

 突拍子のないような回答だったが、ナルトはうなずく。

「知っている。昔、沼に隠れることを嫌った馬鹿な忍がいた――当然捕まる。どうにか隙をみて抜け出すと沼に飛び込んで逃亡を計ったが、縄に縛られてたから死んでしまったという内容だったな」

 物事が起こってからあわてて行動したって死ぬという教訓があり、アカデミーの教材に選ばれるほど有名な故事が『泥縄』だ。今年はまだ習ってないけれど、留年を繰り返してきたナルトには暗唱できるほど馴染みがあるものだった。
 シノは――怪しい格好と口調をしているけど――この糞ったれた里で育ったにしては珍しい、将来有望な人間だった。イノシカチョウやヒナタの前例があるようにこういう真っすぐな性根だとナルトに好かれやすい傾向にあり、

「手遅れにならぬようあらかじめ己を鍛えておく、か――いいだろう、邪魔者が入らぬ場所でいいのならいくらでも戦ってやる」

「有り難い」

 シノからの試合の申し込みを快諾するナルトだったとさ。




 
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