言の笹舟 web小説レビューサイト

 ここでは私の趣味嗜好を基準にネット小説をご紹介させてもらってます。
人気小説・ランキング上位のもの・捜索依頼されているものなどを読んで、気に入ったもののみレビューします。
2013年はこのブログだけでなくやる夫スレでも頑張っていきますよー!



スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。




 

  



NARUTO~閉ざされし、されど鍵ある扉~ 121

 森とは、食料庫である。
 たまに猫との遊び場になったりするけど、ナルトの認識としてはそうだ。
 ナルトは臨時収入あったり、イルカに奢らせるときには『一楽』のテウチにご馳走なったりする。けれど、いつもというわけではない。そういうときはたいてい、森に生えてたり生きているのを採ったり狩ったりしている。
 あまり人らしい食生活ではない。
 だが、それを選んだのはナルトだった。
 ちゃんと手続きをすれば生活費を得ることは容易い。しかし、ナルトは孤児に与えられる権利のほほ全てを放棄している。さすがに森に住むことは禁じられてしまい、住居たけは里内にされてしまったが、そのときボロアパートを望んだのもナルトだ。
 いつ取り上げられてもいいように。







 蛇を食っていることをバレたとき、弁当を作ってこようかとヒナタに言われた――断ったけど。
 信じていないから。
 ヒナタは毒を盛ったりしないことはわかっている。けど、ヒナタから渡される弁当に毒を盛るぐらい、ナルトに恨みある忍には可能だから。それに日向家の厨房かどういった管理になっているのか、ナルトは知らない。だから、信じられない。
 日向家のお手伝いさんが、ヒナタに「ナルトくんに弁当作ってあげるの」と聞かされて、どういった反応を示すのか予測できない。最悪、ナルトとヒナタの弁当どちらにも致死毒を混入させるぐらいの可能性は残っているのだ。
 まだ、ヒナタはお手伝いを疑ったりできない。
 甘さだけではない。
 毒を仕込まれたとき、ヒナタは勘付けないだろう。日常的に"白眼"を使えるほどの眼力はまだ備わってない。
 だからナルトは、ヒナタを信じていても弁当は受け取らない。


 いつか、
 手作り弁当を、
 ご馳走になるために、
 ヒナタを鍛えはするけどね。




 鍵がある。


 条件――それを満たさなければ、ナルトに信頼されることはない。
 害意がないというだけでは不十分。
 覚悟せよ。
 対等となりたければ、信じて・疑い・生きて・死ぬことを――覚悟せよ。
 そして、もひとつ覚悟せよ。
 ナルトは……変人だ、重度のね。




「……!」

 ハクションと可愛らしいくしゃみをした変人ことナルトは、いつものように食料調達のため森にやってきていた。
 まだ肌寒い、夜明けてすぐの時間帯なのに。
 ナルトはいつも朝食と弁当の材料を集めるため、ヒナタ並には早起きさんである。そして寝呆けている鳥やら蛇やら魚やら、猪から熊まで、もちろん山菜とかも拾い集め、それらを調理するのだ。
 しかし、今日はあまり獲物がなかった。
 もうちょっと動物性蛋白質の蓄えが欲しいのに、なかなか大物が見つからない。最近ヒナタの訓練に時間をとられ、こつこつ作っておいた干し肉などの保存食ばかり食うことになり、ストックが尽きかけている。だから粘ってみようという気持ちになっていた。

「ん?」

 不意に、ナルトはなんとなく手を伸ばした。無造作かつ気紛れな動きだったが、握られた掌には一匹の虫が捕らえられていた。
 それをじっと見ながら思案していたナルトは、ややして、ひょいっと口に放りこんだ。テントウムシよりは大きな虫を前歯で挟み……うぇ、詳しい描写ははぶきます……そうして、

「……、不味い」

 唾とともに、ぺっ、とした。
 飲み込まなかったのはいいけど、美味しかったどうするつもりだったんだ?
 というか、せめて蜂の幼虫とかならまだしも、まったく見たこともない昆虫をいきなり味見するなよ。
 ともあれ何事もなかったように再び獲物を捜し求めて歩き出したナルトだったが、

「ん。怒ったか?」

 ぶんぶんとした虫に囲まれてしまった。
 さっき噛み潰した虫と同種――どうやらフェロモンかなにかにより、仲間を殺されたことが知れ渡ったらしい。もう目には攻撃色を浮かべているから、そのうち襲ってくるだろう。毒針とかは見当たらないが、昆虫の攻撃方法は多岐にわたるし、この小さな身体で人を殺すような種だって珍しくはない。
 とくに、ここは木ノ葉の森だ。忍豚にしようとして失敗したイノシシより、寿命が短いからこそ品種改良しやすい昆虫。どんな解毒不可能な猛毒があるかわかったものではない。けっこう毒には耐性あるナルトとて、けっして安心できるというわけではないのだ。
 いや、それなりに命のピンチ?

「…………」

 けれど顔色変わらないナルトはポーチから小袋を取り出すと、さらにどこからともなく割れた割り箸を現せると、ひょいっひょいっと虫を袋に詰め出した。当然、虫たちは反撃しようと襲いかかってくるのだが……、
 なんかもう悲惨だ。
 残像現象さえ発生させるナルトの箸さばきの副産物、ソニックブームやら乱気流に虫たちははたき落とされ、ふらふらっと墜落したところを箸で拾われ布の牢獄に放り込まれていく。数えきれないほどの数の有利さがあったというのに、瞬く間に減っていき――

「さてと、焼くか煮るか炒るか蒸すか――とりあえず揚げるか」

 ああ哀れ、まとめて食材になってしまったとさ。
 弁当は残り少ない保存食でまかなうことにしたナルトは、新鮮なうちにと森の出口に向かった。
 だが、しかし。
 いきなりクナイが降ってきて、それを避けたところに五枚の手裏剣が弧を描きながら飛んできた。それらは箸で掴んでみたが、完璧な軌道計算にいつものチャチな暗殺騒ぎではないと気付き、小袋を遠くに放り投げるとナルトは戦闘体勢になった。

「珍しく、殺気のない奴か……」

 手裏剣の投げ方と気配の隠し方で相手の力量はわかる。これはもしかすると上忍クラス。殺す気でくるというのならナルトも警戒しなければならない。
 といっても、構えるのではなくただ佇むだけなのだが。
 耳の神経を研ぎ澄まし、襲撃者の位置を探ろうとするが――

「!」

 耳鳴りのような、キーンとした痛み。

「……うるさいな」

 鼓膜を震わす耳障りなノイズが邪魔だった。これでは雑音に満ちている森からあとは死ぬだけの愚か者を探しだせない。
 気配は感じる。
 だが、どこにいるのかはわからない。
 居場所がわからないということは不利である、言うまでもないが。いつ、誰が、どこから、どんな術で、狙ってくるかわからないのでは対策は練れない。それに精神的なプレッシャーとなるため、力を出しきれなくなる。
 けれど、それは一般の忍者の場合だ。
 怯えながら周囲一帯を警戒するなど、ナルトは絶対にしない。
 こういうときは――


「ん。じゃあな」


 シカトするのだ。
 忽然と、ナルトの姿が消え去った。
 いつものように"見させていない"だけなのだが、今回は虫の復讐があるから"嗅がせ"てもいない。戻ってきた虫たちは地面にある味見された仲間の亡骸あたりをうろついていたが、やがて諦めたのか森の中に散っていった。
 こうして乱入者により虫たちは助かり、
 アカデミーの時間が迫ったナルトはわずかな野草しか持ち帰れなかったとさ。


 あと、余談だが。
 ナルトから逃れた虫を奇壊蟲と名付けている一族があるという。
 その一族らしき人影が木陰にあったらしい。
 ヒアシとかっていうのが蟲使いの家に訪れて、酒を飲みながらナルトに敗北をしたことを語ったりして、そのときツマミを運んできた息子が聞いてしまったり、それで強いやつに興味を抱いたり――したかもしれない。
 それがどう影響していくのか、狐も知らず




 
前へ目次次へ



関連記事


 

  



コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://kotonosasabune.blog45.fc2.com/tb.php/20-b5950087
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)






FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。