言の笹舟 web小説レビューサイト

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NARUTO~閉ざされし、されど鍵ある扉~ 117

 日向流柔拳法奥義・八卦掌回天を説明するには、日向流柔拳法とその要たる白眼を語らなければならない。
 白眼とは、日向一族に伝わる血継限界である。
 それが発動されるとき、目のあたりに血管が浮かぶ。また所有者の瞳は白いという外見的特徴があるため、わかりやすい。
 千里眼の能力があり、また瞳術トップクラスの洞察眼力もあるらしい。写輪眼のような催眠眼や術の記憶・コピー能力はないが、それを補って余りある特殊能力がある。
 ――経絡系を見透かす能力。
 全身にチャクラを行き渡らせる管、それが経絡系だ。
 どれだけ詳しく見れるかは術者の実力次第だが、まず他の瞳術には無理な領域である。チャクラを運ぶだけでなく、そのチャクラの源である内臓と密接に絡み合っている経絡系を攻撃することができれば、内臓にダメージを与えることが可能になるのだ。
 その技法を極めていったのが、日向流柔拳法だ。
 手のチャクラ穴(経絡系にあるチャクラの出口)から放出したチャクラを、相手の経絡系にねじこむことによる攻撃。どこに当てたかは関係なく、そこに経絡系があるかぎりダイレクトに内臓を傷つけるため、日向流は防御不能と言われている。
 ちなみに、ただの柔拳――大雑把にチャクラをねじこみ全身を麻痺させるのがナルトの得意技である。





 えーと、とにかく。
 白眼があれば、どこから仕掛けられた幻・体・忍術だろうと見破れる。
 瞳術で、どんな幻術・忍術だろうと確実に対処できるようになる。
 日向流柔拳法だったら、防御無視な攻撃を仕掛けられる。
 ならば、あとは体術や手裏剣術のような物理攻撃を封じてしまえば……もう敵はいなくなるのではないか?
 そう思い至ったかつての日向家当主は、天下無双になるべく研鑽をつんだ。
 ――そして。
 まぁなんだ、そんなかんだで生まれたのが木ノ葉の絶対防御・八卦掌回天である。
 白眼により攻撃を察知し、全身からチャクラを大量放出しながら身体を回す。そうすることにより回転力を加速させ、あらゆる攻撃を跳ね返す。単純なだけに、チャクラ量によっては万物を己が定めた領域から追い出すことも可能とする荒技。それが、


"日向流柔拳法奥義・八卦掌回天"


「小細工はそれだけか? くだらぬ」

 断続的に響き渡った金属音、その発生源にヒアシは佇んだままだった。
 弾かれた五本のクナイは地面に深々と突き刺さった。
 そうしたヒアシは興醒めといった顔で、それらを時間差つけて投じたナルトを見やった。

「止まらぬ独楽はない――が、回らずに鉄壁か。誇るだけはある」

 ナルトは八卦掌回天の終盤、回転の緩やかになったところを狙うつもりだったらしいが、それは失敗に終わった。ヒアシは身体を回さず、最小限のチャクラだけを回してクナイを弾いてみせたからだ。
 本来の回天ならば多大なチャクラを浪費するため長時間継続は無理だが、現当主は省エネに成功してしまっているらしい。これでは、一昼夜クナイを投げ付けても届くことはないだろう。また身体と連動させる必要がないのなら、本格的に隙はなくなる――これでは上から仕掛けようと無駄になる。

「完勝――無傷で勝つと約束したから安全策をとったが、やはり楽はできないか」

「馬鹿者め。奥義とは、そう容易く破られぬから奥義というのだ」

「猫とて、クナイぐらいかわす。偉そうなことほざくのは、これに耐えてからにしろ――恥をかきたくなければな」

 ナルトは左半身の構えをとり、さらに右手と左足首をくっつけるように屈み、左手を後ろに突き出すという珍妙な格好となった。

「全力でこい、微風じゃあ意味がないからな――オレに日向の奥義が通じぬことを証明するには」

「面白い。かかってくるがよい!」

 ナルトは、その変則的な構えのままヒアシの間合いに踏み込み、


"日向流柔拳法奥義・八卦掌大回天"


 それを迎え撃つのに、これまでとは比較にならないチャクラ量を勢い良く噴出しながらヒアシが回った。それこそ全力の、いっさい手加減の余地がない災厄のごとき力。

 ――ナルトは。

 ヒザシの竜巻のようなチャクラを受け流すのに、上半身だけ捻りながらさらなる勢いで突進した。そのときに両腕から吹き出したチャクラを旋回させ、さらに両足からのチャクラは地面に叩きつけて加速に使う。
 腕のは、原理的には回天と変わらない。自分の放出したチャクラによりヒアシのチャクラを受けとめ、いなし、横に流していく。
 それだけのことだが、効果は抜群だった。
 低い姿勢になったこともあり、ほぼ大回天の影響を受けずに接近できる。
 そのまま地を這うような低さに回っているヒアシの右手を掴むと、ナルトは引っこ抜くように投げ飛ばした。

「……ぬ!?」

「中途半端な模倣に、奥義を破られた気分はどうだ?」

 回転の軸をずらされたヒアシは、自分自身の回転力により砲弾のごとく飛んでいった。ナルトは左手だけの力しか与えていないのに、大樹に突っ込むとへし折り、盛大に砂塵を巻き上げる。

「――っん!」

 追い打ちをかけようとしたナルトだったか、いきなり横に跳んだ。 ゴッ! っと、チャクラの塊が通り過ぎる。それは木々を根こそぎ吹っ飛ばし、獣道というにはいささか派手な痕跡を生み出した。
 ゆっくりと、その地を削った道を歩んでくる人影がある――ヒアシだ。

「気分か? 悪くはない……血が騒ぐ」

「なら、もうちょっと付き合え。オレは、柔拳は効かないと証明しなければならないからな。オレの我流柔術と日向流の技比べといこうか?」

「いいだろう、受けてやる」

 いつも表情に起伏のない二人が――ひどく嬉しそうに拳をぶつけあった。




「好き勝手にやってるのう」

「ほ、火影様?」

 いきなり登場した三代目に、ヒナタはびくりと驚いた。

「いたのですか?」

「儂がいなければ、もっと大騒ぎになるところじゃったぞ。ちぃっとばかり人払いの術に手間がかかってな、暗部八人に引き継がせてようやく来れたわい」

 ざーとらしく肩を叩きながら、火影はそんなことを言った。

「人払いって……」

「気付いておらんかったのか? これだけ派手にやっておいて、一人も駆け付けてこらんかったじゃろ。それは儂が結界をはっておったからじゃ……三時間も」

 ――はて?
 と、呟いてしまいかねないほど、三代目がボソッと付け足した時間の尺度はおかしかった。ちなみに、まだまだ二人は元気に殴りあっている。休憩などはまったくなく、ひたすらぶって蹴って打って投げて掴んで踏んでを繰り返している――青春だなぁ。
 ともあれ。
 あたり周辺の林など、巻き添えで奇麗さっぱり消えてしまっている。持久戦になってからは節約のためか余波が来なくなったため、ヒナタは倒木に腰掛けながら観戦していたりする。
 ハラハラドキドキしながら見守っていたヒナタだったけど、一時間すぎたあたりから落ち着いて、二時間目には呆れてしまった。それを薄情と思うなかれ。
 だって。
 まだ二人とも、まったく、いまだに、ちっとも、爪の先程も――傷ついていないのだから。

「あやつら、どういった体力しておるのじゃ?」

「ま、まぁ……ナルトくんだし、父上もですから……」

 三代目のぼやきに、ヒナタはあいまいに応じた。
 そんな会話をしている二人が眺めている戦闘の様子、そのごく一部を。




 クレーターの堅くなった地面を踏み付け、ナルトは身体をひねって踵を振り上げる。

「木ノ葉烈風!」

 裂帛の気合いで告げられた基本技の名と数千数万回と見てきた予備動作に、ヒアシは反射的に動いていた。迫ってくる後ろ回し蹴りにあえて近付き、打点をずらして威力が弱まったところを掴もうとする――が、
 しっかりと握り締めたはずのナルトが消え失せる。
 脚だけではない、身体全体が跡形もなく。
 霧のように、煙のように、幻のように。

「ぬっ!?」

 驚愕したヒアシはうめくが、そのときには遅い――跳躍する人影。
 ナルトがなにをしたのか、分かった者はいない。教育方針もあり戦闘に関する目は肥えたヒナタ、幾千の術を使いこなしまた編み出して「教授」と称された三代目火影、そして木ノ葉最強候補の一人たるヒアシでさえ、なにをしたのかされたのか分からなかった。
 だが、どういう仕組みで消えたかわからないがどこからともなく現れたナルトがやったのは三人にも馴染み深いこれまた基本技、木ノ葉突風である。
 まぁ、簡単に説明するとただの飛び蹴りである。忍者に似付かわしくない捨身な技ではあるが、命中したときの威力は大きい。
 その成功率が低い技を当てるのに幻術っぽいフェイントをしたナルトだったが、


"日向流柔拳法奥義・八卦衣回天"


 ほぼ別物となったヒアシの絶対防御――身体の表面にチャクラを流している――に、蹴りはつるりと滑った。
 攻守は入れ替わり、まだ空中にいるナルトを鉄槌のような掌が振り下ろされ、バウンドすることも許されずに地面に叩きつけられる。右腕一本に全体重+遠心力を乗せた押しつぶし、だがナルトは「がはっ」と空気を肺から出すこともなく平然と耐えてみせる。そのまま押しつけられた右腕に、両側から拳を叩きつける反撃までした。これにはヒアシも手を離し、そのうちにナルトは間合いをとった。


 このように、ヒアシは鉄壁の防御により攻撃を許さず、ナルトは攻撃を食らっているはずなのに効いた素振りを欠片も見せない――というか動きが鈍ってないから本当にダメージはないのだろう。そうやって互いにノーダメージのまま肉弾戦。
 どちらかのチャクラが切れるまでは続きそうだが……まったく疲労の様子はない。

「もう日が沈むというのにのう……」

「今日、母上と夕飯一緒に作る約束していたのに……」

 ぼやく観客をよそに、鬼神の笑みを浮かべながら二人はまたまた激突したりして。

 その闘いは、丸二日続いたとか。




 
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