言の笹舟 web小説レビューサイト

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NARUTO~閉ざされし、されど鍵ある扉~ 115

 敷地を取り囲むような四角い塀の内に、日向家はある。敷地内にはいくつかの家屋はあるが、どこに訪れるにも門を越えなければならない。数年前とある出来事があってから警備は強化され、どこの塀にも術式が刻まれるようになったからだ。
 そして、門には常時門番が配置されている。

「「ヒナタ様、お帰りなさいませ」」

 門を挟むような位置に立つ二人の門兵に挨拶され、ぎくりとヒナタは足を止めた。

「い、いつもご苦労さまです……」

 とりあえず会釈した(とても宗家っぽい態度ではない)。それで普段は済むのだが、今日はいつもと違ってナルトが一緒にいた。
 ヒナタは、どう紹介すればいいのか迷った。いきなり日向家に行くと連れてこられたが、目的は「行けばわかる」としか聞かされていない。連れてきた理由を説明できれば通ることに問題はないが、だからといっていまさらナルトに目的聞くのは怪しすぎる。
 つまり、ヒナタがてきとうに誤魔化さなければならないのだが、







 ――言い訳その壱・友達が遊びに……

 おかしくはないが、これまでに来たことあるのは女友達だけだった。ときたま当主の知人に連れられたヒナタと同世代な男の子が来ることはあったが、それとヒナタが【個人的に、一人だけ、異性を、招待する】こととでは意味合いが違ってくる。


 ――言い訳その弐・師匠が家庭訪問に……

 ヒナタ自身は師弟関係をいいとしても、そのことを日向の者に知られるわけにはいかない。
 日向一族には、日向流柔拳法は木ノ葉最強……いや世界最強だという自負があるといった共通点がある。それなのに宗家長女たるヒナタが他流派(それも我流!)に師事していると知れれば、まず間違いなくもめ事になる。


 ――言い訳その参・恋人がごにょごにょと……

 とくに、問題ないのかもしれない。

                                 
 そういった様々なことをヒナタが考えたかどうかは謎だが、宗家として外聞に対する教育を受けているとはいえ、どう紹介しようと無駄だっただろう。九尾のことを知らずには、ナルトを見た大人の反応というのは子供に予知できるものではない。
 どっちみち反応は最悪になるはずなのだから。

 けれど、

「ん」

 と、ナルトは何事もなくすたすたっと通り過ぎた。

「えっ……?」

「どうかいたしましたか、ヒナタ様?」

 門兵は、手続きをしてもいないのに九尾の器を見逃したのだ。まるで、視界に入っていないかのように。

「いえ、なんでもありません。お仕事頑張ってください」

 好都合たがら、そのままヒナタはとたとたと追い掛けた。動揺を押し隠せたのは、その不可思議な現象は一度見たことがあるからだった。しかし、まだ不思議なままだった。その視線に気付いたのか、門から離れるとナルトは説明した。

「面倒だったから、あいつらには見せなかった――それだけだ」

 いや、説明になっていないけど。

「そ、そうなんだ……」

 いや、それで納得しちゃうのかヒナタ?


「そ、その……どこに行くの?」

 とくにどの家に行くというわけではなく、ナルトは真っすぐに庭園を進んでいた。ヒナタが知っているかぎり、そちらにはちょっとした林や私設訓練場しかなかったはずだ。

「そういえば、まだ目的話していなかったな」

「う、うん。まだ聞いてないよ?」

 ナルトはヒナタに並ぶように歩む速度を変えると、耳の上あたりをつつくような仕草をしながら話しだす。

「確か、日向には丈夫さだけが取り柄の馬鹿がいたはずだ。そいつと組手しているところを見せれば、オレに柔拳は効かないことが証明できる」

 ナルトの考えは、つまりヒナタに暴力を慣れさせるということだ。
 いくらナルトが平気だと言っても、ヒナタは柔拳を使うとき全力を出さない出せない。相手の内臓を壊してしまい、結果殺したり後遺症を残してしまったりするのが恐いから。それはデリケートな心の問題だから、口先でどうにかなることではない。
 そんなまま稽古をつけても悪いクセがつくだけだから、ナルトも基礎体力の向上になることぐらいしかさせれない。それでは、あまり修業の成果はあがらない。そこがあの〈崖っぷちの高嶺の花会〉が介入してくるまでの課題だったのだ。
 だから、別の人――ヒナタより実力が上だと効果的――の柔拳をナルトが受けて、それでも効いていない、平気だというところをヒナタに見せつければ、問題解決だと思ったわけだ。
 ヒナタが全力を出せるようになれば、同級生程度手加減しながら勝てるようになるとナルトは確信しているから――それなりにナルトの眼力は確かだ。

「え、えっと、それは誰? ナルトくんの知り合い……なの?」

 丈夫な馬鹿と言われても心当たりはないヒナタは尋ねたが、

「いや、名前さえうろ覚えだがな。落第する前、体術の授業のとき叩きのめしたらうるさかった未熟者だから、再
のチャンスをやれば断ることはまずないから大丈夫だ」

 自信満々に、ナルトは忘れていることを告白した。思い出そうと努力はしてみたがダメだったらしい。そして、した弁明はピントズレしている――わずかにヒナタが不安そうになった。

「ナルトくん、その人の居場所わかるの……?」

 名前も覚えてないのに、待ち合わせの約束をしているとは思えないが……日向関係者は宗家分家関わらず敷地内に住んでいるが、いつでも居るというわけではもちろんない。不法侵入しておきながら、居ないから帰るというのでは情けなさすぎる。

「ん。そろそろいいか――ちょいと調べる」

 そう宣言すると、ナルトは目を瞑った。視界を封じながらも身じろぎしない自然体のまま、黙祷のようなことをする。
 黙って、ヒナタもそれを見守る。

 ややして――と言っても三秒ほどだが――ナルトは眩しそうに目を開いた。

「居ないようだな。少なくとも、この家の敷地内には」

「えっ、ナルトくん……わかるの?」

「ただの遠眼鏡の術だ。水晶球代わりに眼球使うと探索範囲が狭まるからな、入ってこないと全体を見極めれなかった」

「凄いね……ナルトくん」

 さりげなく千里眼(透視+遠くを見る力)の能力がある白眼の価値が否定されたようだが、この術は相手のチャクラパターンを知ってなければならないという制限がある。それに視覚を封じなければならず、また使用中は全体的に五感が鈍くなるという欠点があるため。戦闘には使えない諜報専門の術だ。
 でも、ヒナタ以外の瞳術使いだったら素直に称賛できなかっただろう。たいていの人は、自信の拠り所を猿真似されても気にしないでいられるほど器は広くない。

「でも、そしたらどうするの? あ、あの……」

 予定がつぶれたことになって、ヒナタは言うか迷ったあげく、

「その、私の家に寄って――」

 と、誘おうとしたが。不意にナルトが振り返った。

「ん。気付かれたか」

「え? それって……」

 まったく焦ることなく言われたため、なにを言われたのか気付くのにヒナタは遅れてしまった。

「ん。こっそり忍び込んだのバレたからな、けっこう強めの気配が向かってくる――と、来たな」

 足を止めたナルトが、直進してくる気配の方角を見やった。
 びくりと、ヒナタの身体が震えた。
 無意識に白眼を使ってしまい、誰が近付いてきている知ってしまったのだ。そして、ヒナタが震える相手とは、

「ち、父上……」

 日向家当主の日向ヒアシだったとか。




 
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