言の笹舟 web小説レビューサイト

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NARUTO~閉ざされし、されど鍵ある扉~ 111

 忍者学校――そこでは個性や適性が尊重され、生徒によって授業方法が変えられる。
 協調性や基礎を習得するための集団授業はあるが、卒業間際、つまり応用の段階になってくると減ってくる。
 しかし、経験豊富な教師とて全員に対応できるわけではない。
 つまり何人かいる、他とは違った特色のある生徒は爪弾きというわけではないが放っておかれることになるのだ。
 けれど生徒を遊ばせておけないから、たいていは基本メニューを繰り返させておくことになる。
 その効果は薄く、常々教師は頭を悩ませることになるのだが――。


「ということで、そんな暇そうにしてるなら手伝え」

「……オレが暇を持て余しているように見えるのか? イルカ」






 ナルトの敬語になってない返事に、後ろから見下ろしてきた人影にぴきっと青筋が浮かんだ。

「おめぇな、先生とか呼んでみるつもりねーのか?」

「――教わるようなことなかったからな。致し方ない」

「はぁ……学ぶようなことないって分かってんのに、どうして卒業しなかったんだよ? ナルト」

 イルカは怒気とともに溜め息を吐くと、綾取りをしているナルトの隣に座った。
 ちなみに綾取りは、印の早結びに必要な指の柔軟性を高めるため奨励されている。

「だいだい忍者になるつもりあんのか?」

「別にないな」

「おいっ! なら、なんで入学したんだよ!?」

 教師にしては聞き捨てならない台詞だった。

「他に、働ける場所がないからな」

「あるじゃねーか、色々。忍者以外になりてぇっていうんなら、先生が火影様に頼んでやろうか?」

 忍者学校の教師としては失格な申し出だが、それはナルトを思ってのことだった。
 だが、

「夢見るのは子供だけの特権だ、イルカ。大人の自覚があるなら現実的に考えろ――木ノ葉にないだろ、九尾の器を受け入れられるような場所は」

 魚を獲る罠をやりながら、さらりと常識のように語られた言葉にイルカは打ちのめされる。
 たぶん、根気よく探せば雇ってくれる店ぐらいは見つかる。が、遠からずうちに廃業に追い込まれるだろう。九尾を憎む里人によって。
 それは被害妄想ではないと、痛いぐらいイルカにはわかったから。
 暗くなってしまったイルカをフォローするように――カニをしながら、

「いや、勘違いするな。忍者になりたいという気持ちはある」

「そうか――そうだよな(そうじゃねぇと救いがないからな、マジで)、じゃあ、どうしてなりたいんだ?」

「ん。依頼中に襲われたなら、任務執行妨害をした裏切り者として合法的に殺せるからな。――その権利は捨てがたい」

 ぐっさりとした追い打ちに、イルカは教職にいる自信を失った。
 慰めるように――残像が残るような稲妻を見せながら――ナルトは肩を叩いた。

「飲みにいきたい気分になったら、いつでも言え。奢りなら付き合うからな」

「酔いたくさせた張本人と飲めるか! てーか、未成年だって自覚あんのかよ! 先生を教師だと思ってないことよーくわかったからな!!」

 それでも怒涛の突っ込みを放つとは、やっぱり根っからの教職者らしい。


「まぁいい、話だけは聞いてやる。一楽の熱燗でな」

「いや、ラーメンにしとけよ。生徒だろ」




 アカデミーの校庭に、バシバシと打撃音が響き渡っていた。

「はぁ。……あー、彼女がそうだ」

 合意に達したのはラーメン食い放題だったため、ちょっと涼しげな出費予定となったイルカの頼みごとというのは――個人レッスンだった。つまり、

「あいつのサンドバックになれ、と、いうことだな?」

「お前なぁ、もうちょっとマシな表現勉強しろや」

「別に、その必要はないな」

 そんなことを話し合っている二人を稽古を中断した少女が見つめていた――縄を巻き付けた木に隠れるように。どうやら臆病な気質らしく、どことなくオドオドしているがわかる。

「おーい、ヒナタ。ちょっと来い」

 手招きされると寄ってきたけど、顔はうつむいている。
 ごく普通に見ていると、可愛い、とか言われる美少女だと思う……が小動物的なのが第一印象になる。その女の子が木に向かって掌打を繰り出していたのだから違和感はあるが、とくにナルトは気にしなかったらしい。

「……せ、先生。なんでしょうか……」

 聞き取りにくい、小さな声。

「このまえ話した柔拳の心得があるヤツってのが、このナルトだ。お前の練習相手をやってもらうことになったからな、これで組手ができるぞ」

 和やかにイルカが話し掛けたが……反応は、怯え?

「……えっ、ええ…………その……ぃ、いいんですか……」

 怖ず怖ずと、それでもヒナタが尋ねなければならなかったのはわけがある。
 体術といったら剛拳と柔拳があるけど、柔拳を習得するものは少ない。イロイロと理由はあるが、まずは稽古が難しいということがある。というか、未熟者がやると危険――死ぬのだ。
 人間は頑強だから、急所に当らないことだけを注意すれば、殴ろうと蹴られようと生きていられる。骨が折れようと、砕けようと、医療忍術があるから治りは早い。だから、剛拳ならば学校で教えることができる――もちろん監督はするが。
 けれど、急所を狙うのが柔拳だ。内臓の損傷を癒せる忍医は少なく、怪我の度合によっては稽古中の傷で亡くなることがある。また柔拳のダメージを軽減するには、柔軟な筋肉と鍛えられた内臓がいる……とてもアカデミー生にはない、まともに喰らったら一撃で寝込むことになる。
 そのため数少ない柔拳使いは、ただ黙々と木に打ち込むことになる。
 さっきのヒナタのように。
 まぁ性格的に人に殴りかかることに躊躇しそうだから、そっちの方をヒナタは気に入ってたのしれないが。それでは実戦に通用するような技にならない。

「ああ、こいつなら平気だから。百発二百発喰らったって効かないよ」

 安心させるようにとイルカが無茶を言う。
 でも……ナルトの場合、無茶苦茶なことに千発ぐらいは大丈夫だから、けっこう人選としては正解なのかもしれない。
 イルカにしては冗談のつもりだったのだろうが。
 ともかくナルトは手を差し伸べ、

「では、しばらく頼む。うずまきナルトだ」

「……っあ、えっと……こちらこそ、ふつつか者ですけど末長くよろしくお願いします…………」

 微妙に――いや、けっこう危ないことを口走ったヒナタが握り、握手が交わされた。

「ヒナタ。それは結婚したときのセリ――」

「訓練の邪魔だ、イルカ。だから帰って、造花作りのバイトをしてろ」

「っえ? 先生、そんなこと…………」

「いや、してないからな。その同情するような目はやめなさい、ヒナタ」

「教師には教師の見栄がある。わかってやれ、ヒナタ」

「あ、あの、すいません。ごめんなさい、誰にも喋りませんから……」

「はぁ。もういい……じゃあ、任せたからな(そんな貧乏に見えるのかな、先生なのに)」

 修正しようとした貧乏教師には天罰が下り、なんか不名誉な扱いを受け退場した。
 こうして、修業のパートナーとなったナルトだったが。
 なぜか日向家を道場破りしに行くことになったとさ。




 
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